神は存在する。それが証拠に数学には矛盾がない。悪魔も存在する。それが証拠に我々は数学の無矛盾生を証明できない *タイトル画像は六本木ヒルズからの夜景。。。。

科学における同時性

ニュートンライプニッツ微積分法を同時に発見したことを考えれば、科学の分野では、なぜ別々に研究している人々が同時に同じ発見をすることが多いのかと不思議になる。たとえば、チャールズ・ダーヴィンとアルフレッド・ヴォレスは、それぞれ独自に進化論を考えた。1858年、ダーヴィンは、ヴォレスと同時に提出した論文で自説を発表した。ヴォレスも、ダーヴィンと同じ自然淘汰説を唱えた博物学者である。

数学者ヤノシュ・ボヤイとニコライ・ロバチェフスキーが双曲幾何学をそれぞれ独自に、しかも同時に創始したのも同時性を示す例だ。このように同時に発見が行われる理由として最も可能性が高いのは、それまでに人類が蓄積した知識があるレベルに達していて、その発見が行われるための機が熟していたというものだ。一方で、そのような偶然の一致にはもっと深い意味があるとする神秘主義者もいる。オーストラリアの生物学者パウル・カンメラーはこう書いている。

ここにきて浮かび上がるのは、常にかき混ぜられ、並べれらるにもかかわらず、似たものどうしを結びつける働きもあるモザイクの世界や万華鏡の宇宙というイメージだ。

カンメラーは、世界のさまざまな事象を、一見するとそれぞれが独立して互いに何の関係もないように見える海の波頭にたとえている。物議をかもした彼の説が正しいとすれば、私たちには波頭しか見えないが、海面下では、不思議な力で世界の事象を結びつけ、それらの事象をひとつにまとめる、ある種の共時性メカニズムが働いているのかもしれない。